島根難病研究所▼平成15年度研究事業報告書

中高齢者のメンタルヘルスに関する地域保健活動


▼共同研究
  1. 脳血管障害、緑内障の発生進展に関わる遺伝的危険因子の検索

  2. 高齢者の脳の老化に関する縦断的研究

  3. 血管機能からみる心脳血管事故の発症予測

  4. 心血管事故予測因子としての抹消血管内皮機能

  5. 緑内障の遺伝子危険因子の検索

  6. 変形性股関節症患者における股関節周囲筋筋力、筋線維萎縮および日常生活での活動性に関する研究

  7. シネMRIによる骨盤底筋体操時の膀胱動態の評価

  8. 出雲市高齢者の体力検査

  9. 質量分析計の臨床医学への応用:代謝疾患スクリーニング法の研究

▼部門別研究
  1. モデルラットを用いた高血圧、脳卒中遺伝子の同定

  2. 1)指尖容積脈波によるスリープダイアグラム作成についての検討 2)桑の葉エキスとプロポリスの配合液の2型糖尿病に対する効果の検討

  3. 脳卒中および脳血管性痴呆の発症機序に関する研究

  4. 加齢と高血圧の血管コンプライアンスへの影響および高齢者高血圧におけるベニジピンの治療効果

  5. モンゴル国への医療援助−モンゴルへ渡航しての小児先天性心疾患に対するカテーテル治療の実践

  6. 中高齢者のメンタルヘルスに関する地域保健活動
島根難病研究所健康管理研究部門 
研究代表者 藤田 委由

1.研究テーマ:中高齢者のメンタルヘルスに関する地域保健活動

2.研究者氏名:藤田委由(島根大学医学部公衆衛生学)、堀口淳(島根大学医学部精神医学講座)、木原勇夫(島根大学医学部健康スポ−ツ科学)

3.研究概要

【目的】

 出雲市の地域住民における精神保健の向上を目的に、「気分ほがらか教室」を開催した。「気分ほがらか教室」は健康講話を中心にした健康教室とレクレ−ションを中心にした運動教室で構成される。本教室は平成15年12月より平成16年3月まで、毎週土曜日の午後に90分間、合計12回開催した。教室開始前と終了時に抑うつに関するアンケ−ト調査を実施したので、結果の概要を報告する。

【方法】

 出雲市健康福祉課の協力により「気分ほがらか教室」の参加者を募集した。気分ほがらか教室の参加者に対し、(1)感情、気分を評価する自己記入式質問票の日本語版POMS*1)による調査、(2)自己評価式抑うつ性尺度(SDS)*2)による調査、(3)健康調査票による1日睡眠時間の調査、を教室開始前と終了時に実施した。日本語版POMSは「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「疲労」、「混乱」の6感情尺度を測定する。

【結果】

 気分ほがらか教室の開始前と終了時に日本語版POMS、抑うつ性尺度(SDS)、1日睡眠時間を測定できた教室参加者は13名であった。この13名を解析対象者とした。平均参加回数(範囲)は8.8回(4−12回)であった。性別は男2名、女9名で女の参加者が多い。平均年齢(範囲)は65.6歳(56−74歳)でいずれの参加者も中高齢者である。
 日本語版POMSにおける「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「疲労」、「混乱」の6感情尺度を気分ほがらか教室開始前と終了時を比較した。その結果、図1に示すように「緊張−不安」の感情尺度は教室開始前に比べ終了時には減少していた(有意差なし)。気分ほがらか教室によって「緊張−不安」の気分が改善されたのかもしれない。「怒り−敵意」の感情尺度は教室開始前に比べ終了時に上昇していた(有意差なし)。
 抑うつ尺度(SDS)と1日睡眠時間を教室の開始前と終了時に比較した。その結果、抑うつの状態と睡眠時間に著しい変化は認められなかった(図2図3)。










【結論】

 出雲市の地域住民13名を対象に精神保健の向上を目的にした、「気分ほがらか教室」を開催した。教室の開始前と終了時における抑うつ状態の著しい変化は認められなかった。

【謝辞】

 気分ほがらか教室の実施に当たり、出雲市健康福祉課より多大なご協力を頂いた。心より感謝いたします。

【文献】

1)横山和仁,荒木俊一,川上憲人,竹下達也.POMS(感情プロフィ−ル検査)日本語版の作成と信頼性および妥当性の検討.日本公衆衛生学雑誌 1990, 37: 913-917
2)堀口淳,柿本泰男.特発性パ−キンソン病の抑うつ症状と痴呆.臨床精神医学 1983, 12:1263-1268

4. 学会機関誌発表状況
<学術雑誌>
1) 谷原真一、山部清子、大津忠弘、津田敏秀、中村好一、藤田委由:食中毒事件あたり患者数の年次推移に関する一考察. 厚生の指標 50: 32-35, 2003
2) Fujita Y, Ito C, Mabuchi K.: Surveillance of mortality among atomic bomb survivors living in the United States using the National Death Index. Journal of Epidemiology 14:17-22, 2004京

<学会発表>
1) 矢野香,広瀬美和子,早川岳人,天野宏紀,谷原真一,藤田委由,多田學:島根県多伎町における基本健康受診者のヘモグロビンA1c値と空腹時血糖.第62回日本公衆衛生学会総会.京都,2003年10月
2) 藤田委由,早川岳人,天野宏紀,谷原真一.ヘモグロビンA1cと喫煙習慣の関連.第62回日本公衆衛生学会総会.京都,2003年10月
3) 早川岳人,岡村智教,門脇崇,岡山明,喜多義邦,谷原真一,藤田委由,上島弘嗣.国民の代表サンプルを用いた高齢者の日常生活動作能力の5年間推移(NIPPON DATA80).第62回日本公衆衛生学会総会.京都,2003年10月
4) 谷原真一,藤田委由,津田敏秀,大津忠弘,岡田尚久,中村好一.食中毒事件届出の現状及び事件数の推計に関する調査.第62回日本公衆衛生学会総会.京都,2003年10月
5) 谷原真一,中村好一,津田敏孝,大津忠弘,藤田委由.臨床医の食中毒事件届出に対する意識に関する調査.第14回日本疫学会学術総会,山形,2004年1月
6) 谷原真一,小林廉毅,藤田委由.国民医療費における喘息医療費の影響に関する時系列的検討.第74回日本衛生学会総会.東京,2004年3月
7) 谷原真一,藤田委由.1歳6か月健康診断受診児の事故経験歴に関する調査.第13回日本健康教育学会.栃木,2004年6月


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