▼共同研究
- 脳血管障害、緑内障の発生進展に関わる遺伝的危険因子の検索
- 高齢者の脳の老化に関する縦断的研究
- 血管機能からみる心脳血管事故の発症予測
- 心血管事故予測因子としての抹消血管内皮機能
- 緑内障の遺伝子危険因子の検索
- 変形性股関節症患者における股関節周囲筋筋力、筋線維萎縮および日常生活での活動性に関する研究
- シネMRIによる骨盤底筋体操時の膀胱動態の評価
- 出雲市高齢者の体力検査
- 質量分析計の臨床医学への応用:代謝疾患スクリーニング法の研究
▼部門別研究
- モデルラットを用いた高血圧、脳卒中遺伝子の同定
- 1)指尖容積脈波によるスリープダイアグラム作成についての検討
2)桑の葉エキスとプロポリスの配合液の2型糖尿病に対する効果の検討
- 脳卒中および脳血管性痴呆の発症機序に関する研究
- 加齢と高血圧の血管コンプライアンスへの影響および高齢者高血圧におけるベニジピンの治療効果
- モンゴル国への医療援助−モンゴルへ渡航しての小児先天性心疾患に対するカテーテル治療の実践
- 中高齢者のメンタルヘルスに関する地域保健活動
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島根難病研究所脳卒中予防研究部門
研究代表者 並河 徹
1.研究テーマ:「モデルラットを用いた高血圧、脳卒中遺伝子の同定」
2.研究者氏名:並河徹
3.研究概要
【緒言】
本態性高血圧(以下EHT)は罹患率の高い疾患であり、脳血管、心、腎障害などの二次性障害を引き起こす為、これを予防、治療することは重大な課題となっている。EHTは遺伝素因に環境因子が加わって発症すると考えられており、その素因遺伝子を同定することで、(1) 素因の在る者を選り分けて集中的効率的な予防を行うことや、(2) その遺伝子産物を標的にした、より本質的な治療方法を開発することが可能となる。1980年以降、遺伝子多型マーカーを利用した家系分析(リンケージ分析)を用いて、多くの遺伝疾患の原因遺伝子が同定されてきたが、EHTの場合、(1) 原因遺伝子が複数あると考えられること、(2) 家系ごとに原因遺伝子が異なる可能性があること、(3)環境因子の影響が大きいことなどからリンケージ分析を用いることは困難と考えられてきた。これに対し、申請者らは、遺伝的に均一な近交系モデルラットを用いることで、上記の困難を克服することができると考え、脳卒中易発症自然発症高血圧ラット(SHRSP)と正常血圧対照群であるWKYラットを交配して得た150匹近いF2ラットの遺伝解析を行い、高血圧に強く関与する領域がラット第一染色体にあることを明らかにした。そこで本研究では、これをさらに進めて、1)第1染色体領域の高血圧遺伝子同定を試みる、2)他の領域との相互作用を明らかにする、3)脳卒中発症に関与する領域を同定する、の3点を目的とする。
【対象・方法】
1)第1染色体領域のサブコンジェニック系統を作製し、血圧等の生理学的特徴を検討する。
2)連鎖解析にて血圧に影響を及ぼす他の染色体領域を同定し、そのコンジェニックラットを作製する。
3)脳卒中素因遺伝子存在領域を連鎖解析にて明らかにし、そのコンジェニックラットを作製する。
【結果】
1)第1染色体領域について、WKYの遺伝的背景にSHRSPの染色体断片を移したサブコンジェニック系統11系統、逆にSHRSPの遺伝的背景にWKYの染色体断片を入れたもの15系統を作製した。各系統で血圧等の検索を行なったところ、この領域内に複数の高血圧遺伝子が存在する可能性が高いことが明らかとなった。また、いくつかのストレスに対する反応がこのコンジェニックラットで亢進していることがわかった。これは、この領域にある高血圧遺伝子の機能を推測する上で重要な知見である。
2)第1染色体領域と相互作用を有する領域として、第13、9染色体が同定され、現在そのコンジェニック系統を作成中である。
3)脳卒中素因遺伝子の存在領域として、第1、18染色体が同定され、現在コンジェニック系統を作成中である。
4. 学会機関誌発表状況
●著書
1) 並河徹、益田順一:(疾患25)脳血管障害になりやすい体質(遺伝子多型)とは? 小林祥泰編;脳血管障害を探る、永井書店(大阪市福島区), pp204-207, 2003年2月(2/10発行)
2) 並河徹:(脳と分子生物学)脳血管障害とホモシステイン 藤島正敏編:脳と循環、メディカルレビュー社、東京、pp63-66,2004年1月(1/1発行)
●学術論文
1) 並河 徹、越智弘、益田順一: 酸化ストレスと動脈硬化. Current Therapy, 21(6): 23-27, 2003年5月(5/25発行)
2) Cui Z-H(Cui ZH), Ikeda K, Kawakami K, Gonda T, Nabika T, Masuda J: Exaggerated response to restraint stress in rats congenic for the chromosome-1 blood pressure QTL.(=quantitative trait locus.) Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology, 30(7): 464-469, 2003 Jul
3) Nanko S, Kunugi H, Hirasawa H, Kato N, Nabika T, Kobayashi S: Brain-derived neurotrophic factor gene and schizophrenia: polymorphism screening and association analysis. Schizophrenia research. 62(3): 281-283. 2003 Aug
4) Kato N, Nabika T, Liang Y-Q(Liang YQ), Mashimo T, Inomata H, Watanabe T, Yanai K, Yamori Y, Yazaki Y, Sasazuki T: Isolation of a chromosome 1 region affecting blood pressure and vascular disease traits in the stroke-prone rat model. Hypertension, 42(6): 1191-1197. 2003 Dec
●学会発表
<特別な学会発表>
国内学会等(特別講演およびシンポジウム)
1) 並河徹、柴田宏、森山英彦、野津吉友、益田順一:心血管疾患に関わる新たなマーカー:酸化ストレスマーカーとADMA.」(招待講演) 第12回中国・四国赤十字病院臨床衛生検査技師会, 松江, 2003年2月22日
2) 並河徹:(臨床検査系セッション . 生化学検査)酸化ストレスマーカーの評価と脳血管障害の危険因子としての意義. シンポジウム(招待) 第67回日本循環器学会総会・学術集会, 福岡, 2003年3月(会期は3/28-30、発表は3/30、シンポジウム(招待))
3) 並河徹: シンポジウム「生活習慣病のモデル動物としてのSHRの進展」脳血管障害遺伝的モデルとしてのSHRSP. シンポジウム(招待) 第39回高血圧自然発症ラット (SHR) 学会総会, 東京, 2003年6月(6/27-28シンポジウム(招待)
4) 並河徹:特別講演「生活習慣病の遺伝素因」−どこまでわかったか、どう活用するか−. 島根県臨床内科医会, 松江, 2003年9月
5) 並河徹:レビューレクチャー「高血圧とその合併症の遺伝素因」. 第53回日本体質医学総会, 大阪, 2003年9月
6) 並河徹:特別講演「生活習慣病の遺伝素因−予防予知は可能か−」平成15年度日本医師会生涯教育講座, 島根県医師会, 松江, 2004年1月25日
国際学会(特別講演およびシンポジウム)
国際学会発表
1)Yao H, Nabika T, Sugimori H, Masuda J, Ibayashi S, Ikeda M: Congenic removal of a hypertension gene on rat chromosome 1 attenuates infarct size produced by middle cerebral artery occlusion in hypertensive rats. 29th International Stroke Conference, San Diego, Feb. 5-7, 2004
国内学会発表
1) 並河徹: SHRSPを用いた高血圧関連遺伝子. SHR等疾患モデル共同研究会研修会, 浜松, 2003年2月
2) 王濤、川端雅彦、並河徹、羽田学、益田順一、高畠利一: SHRSP由来の第1染色体高血圧関連領域を導入したWKYコンジェニックラットの腎機能. 第46回日本腎臓学会学術総会, 東京, 2003年5月
3) 並河徹、池田克巳、崔宗虎、川上浩平、家森幸男、加藤規弘: 遺伝的モデルラットを利用した高血圧素因遺伝子単離の試み. 第13回日本人類遺伝学会 Medical Genetics 研究会, 東京, 2003年6月
4) 並河徹、山下康子、増田佳子、丹羽正美: 一過性脳虚血後遅発性神経細胞壊死における遺伝素因の役割:遺伝的モデルラットによる検討. 第10回日本遺伝子診療学会大会, 大阪, 2003年7月
5) 崔宗虎, 並河徹, 池田克巳: SHRSP由来の第1染色体コンジェニックラットにおける拘束ストレス反応の亢進. 第26回日本高血圧学会総会, 宮崎, 2003年10月
6) 柳内和幸, 水沼眞紀子, 並河徹, 猪又兵衛, 加藤規弘: ラット染色体1番上に存在する高血圧関連疾患の責任遺伝子検索. 第26回日本高血圧学会総会, 宮崎, 2003年10月
7) 飯ケ谷嘉門, 熊谷裕生,大波敏子, 松浦友一, 滝本千恵, 並河徹, 崔宗虎, 鬼丸洋,河合章,猿田享男: SHRSP(脳卒中易発症高血圧ラット)由来の第1染色体高血圧関連領域遺伝子を導入したWKYコンジェニックラット(WKYpch1.0)とWKYラットの交感神経中枢(RVLM)ニューロンの電気活動の比較. 第26回日本高血圧学会総会, 宮崎, 2003年10月
8)王濤, 川端雅彦, 並河徹, 羽田学, 益田順一,高畠利一: SHRSP由来の第1染色体高血圧関連領域遺伝子を導入したWKYコンジェニックラットは、腎交感神経系亢進の特徴を有する. 第26回日本高血圧学会総会, 宮崎, 2003年10月
その他
1) 並河徹: 脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)における高血圧遺伝子解析. 長崎大学大学院医歯薬学総合学研究科セミナー, 長崎, 2003年1月(1/10大学院セミナー)
2) 並河徹: SHRSPを用いた高血圧関連遺伝子. SHR等疾患モデル共同研究会研修会, 浜松, 2003年2月 (2/8・日本SLC(株)にて)
並河徹: 脳血管痴呆にかかわる遺伝的危険因子の検索. 財団法人慢性疾患・リハビリティション研究振興財団助成研究発表会,京都,2003年12月 (12/6 新・都ホテル)
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